マックイーンは、彗星の如く現れた天才デザイナー。ずば抜けたデザインとコンセプトに、世界は大絶賛し酔いしれた。圧倒的な眩しい頂点に駆け足で登りつめた彼に、こんなにも「闇」があったとは、この映画を見るまでは思いもよらなかった。彼の生い立ちは、ロンドンの労働階級の環境で育ち、16歳で学校を辞め何をしていいのか分からず悶々としていたと言うのだ。親の勧めで仕立て屋で働き出してから、彼の人生はファッションで染まっていく。ぽっちゃりとして、Tシャツにジーパンといった飾らないスタイルの彼から、どうして彼がデザインしたジバンシーのドレスがものすごく華麗で、繊細な手仕事なのか・・・映像の何処かに謎が解ける『鍵」があるのではないかと探したが、分からなかった。それくらい、彼の頭にはいろんなイメージが宝の如く埋まっていて、それを発掘してはカタチにしていける技術があったということだ。そんな唯一無にの魂を、葬ってしまったのは『孤独』という悪魔が取り憑いたから。先日放映したNHK『ヨウジヤマモト〜時空を超える黒〜」で、ヨウジヤマモトが「時代の半歩先を行く、2歩行くと変人扱いになる」と言ったのが印象に残る。1980年ごろパリで一世風靡したヨウジヤマモト、しかし始めはボロボロの穴だれけの服を発表し、酷評された。マックイーンも、時代を行き過ぎだと酷評され続けた。・・・・今、振り返ってYouTubeでマックイーンのコレクションを見ると、すざましいエネルギーを感じる。イギリスならではのパンクな精神とでも言うのか。でも彼の作品はパンクファッションとは対照的な、洗練された研ぎ澄まされた美しさ。ヨウジヤマモトは75歳、長くファッション界で生き抜くには相当なメンタルが必要だ。短く太く、その時に全ての光を集めるのもマックイーンしかできなかったことかもしれないが、悔やまれる。ただのドキュメント映画じゃない、多くの人に見てもらいたいな。

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