映画『はちどり』を観てきました!

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昨年、賞を総なめした韓国映画『パラサイト半地下の家族』、同時期にこの映画『はちどり』も50冠を超える賞を取っている。舞台は1996年の韓国・ソウル、監督の少女期を投影した作りになっている。実は、このころの韓国に私は仕事で何度か訪れている。その頃の私は若すぎて全く時代背景も分かってはいなかった。仕事で出会う韓国の社長さんらのお話で「亡命した」とか理不尽な理由で「逮捕された」など朧げながら覚えている。この時代は韓国は急速な高度経済成長に伴い、人の心が追いついていない。家父長制や学歴至上主義は根強く、大きな集合住宅に住む14歳のウニに起こる出来事が、韓国社会を反映させていて見事だ。そしてもう1つ素晴らしいのは、静かなる『フェミニズム』を感じるところ。日本以上に韓国社会は男社会だ。映画でも雄々しい印象で暴力シーンも多い。監督自身それにアンチし、この映画でも兄が妹ウニに暴力を振るうシーンもあるが、音だけで表したり極力少ない。しかも兄の心情も描かれていて悪者にはしていない。高圧的な父親もウニの為に泣くシーンも印象的だ。ウニの小さな世界での、女性の未来のサンプルは『母親』しか居なかった。叔父よりも頭が良かったのに大学には行けなかった。働き詰めでいつも疲れていて、子供の心の変化にも気付けない。しかし忙しい中でも手の込んだご飯を欠かさない。母親のせめてもの愛情表現だったのでは?と思う。しかし突然現れた漢文の塾の女性講師ヨンジ、茶器で入れてくれるウーロン茶や線香の香り、ユニの悩みを静かに聞いてくれる。ヨンジはユニの憧れになる。ヨンジが出した例文。

自分が知っている人達の中で、本心が分かる人は何人いるか?

この例文によってユニは自分の周りの人たちの本心を模索し出すのだ。心情を丁寧にゆっくりと映し出し、ウニの表情や行動から目が話せない。ずっと見入ってしまった。(特に最後のシーンの演技は圧巻です)
ヨンジ先生が言った 社会はどうであれ 嫌だと思ったことは 過去のことを思い出して 言わなければならない
もしかしたら、監督自身が、そのことを思い、この映画を作ったのでは?と、強い意志を感じました。

そして、冒頭の大きな集合住宅を映し出すシーンがあります。この建物は映画の為に、当時の建物にリノベーションしたのだとか。
そこからもこの映画の深みを感じます。・・・・名作です。ぜひご覧ください。

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by harico_couture | 2020-08-03 10:56 | 本・映画

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